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岡山の介護を支えるプロフェッショナルたち 3

岡山県言語聴覚士会会長 川崎医療福祉大学教授 種村 純先生が語る

「暗記訓練はやってはいけない!」

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 今回のインタビューは岡山県言語聴覚士会会長であり、川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科教授でいらっしゃる種村純教授です。難しい理論に関する話と思いきや、介護に役立てられる実践的なお話をお伺いすることができました。(松浦)

松浦 さっそくですが6月13日、14日には日本言語聴覚学会が岡山で開催されるのですね。種村先生はその学会長もされるとのことで、本当にお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
(このインタビューは2009年1月に実施致しました)

種村先生 今年は本学で開催されることになり、全員で力を合わせて準備を進めているところです。今回は全国から約2000名の言語聴覚士が集結し「言語聴覚臨床のスコープ」をテーマに開催されます。

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松浦 言語聴覚士の方は全国で何名ぐらいいらっしゃるのですか?

種村先生 言語聴覚士は約11,000名で言語聴覚士協会に加盟している方が約7,000名です。岡山県には約200名の言語聴覚士が活動しています。

松浦 岡山県の場合、言語聴覚士の人数は適正だと言えますか?

種村先生 もちろんまだまだ不足してますね。例えば特別養護老人ホーム、老人保健施設にはほとんど人が出せていませんし、岡山県北部では医療機関においても人が不足している状況です。言語聴覚士を養成することももちろん必要ですが、言語聴覚士が活躍できるように、現場も整備される必要があります。具体的に言えば医療、福祉、介護の現場は、高次脳機能障害のリハビリテーションに関して、もっと積極的に取り組んでいかなくてはならないと考えます。

松浦 高次脳機能障害についてもう少し詳しくお聞かせいただけますか?

種村先生 はい。高次脳機能とは①知る・わかる(認知)、②ことばを使う(言語)、③覚える・思い出す(記憶)、④考えて行動する(遂行)一連の脳機能のことです。高次脳機能障害は脳血管障害や脳の外傷によって引き起こされますが、よくご存じの通り、認知症疾患やアルツハイマー病でも発生します。

松浦 なるほど、我々にとっても身近な問題だったのですね。

種村先生 その通りです。さらに言えばこの高次脳機能は現代社会において、より高く価値づけられたもののひとつです。例えば私の受け持つ高次脳機能障害の患者さんで、会社を経営されている方がいますが、その方はこう言います。「体は動かなくても社長業はできる、でも言葉が喋れなくては社長業は務まらない。はやくこの言葉を何とかしてくれ」と。現代社会は身体的労働能力ではなく、高次脳機能に依存した社会になってきているということが言えます。

松浦 なるほど。その通りですね。どうしても私たちは体のリハビリテーションにばかり目が向きがちですが、確かに現代社会を生きていくためには言語や高次脳機能のリハビリは本当に重要ですね。

種村先生 その通りです。我が国としても障害者
5カ年計画で昨年から5カ年で、全国の都道府県にこの高次脳機能障害に関する支援体制を普及させることが内閣で決定されています。岡山県では川崎医療福祉大学付属病院が他県よりも先進してその支援体制を作っています。

松浦 では実際には高次脳機能障害の方に対しては、どのようなリハビリテーションが行われているのですか?

種村先生 さまざまなリハビリテーションの方法がありますが、ひとつご紹介しておきましょう。学生さんはよく受験勉強の時に暗記をしますね。しかしそうして暗記して覚えてもらおうとすることは、記憶障害のある人、認知症の人にはやってはいけないということがわかってきています。

松浦 暗記はだめなんですか?

種村先生 その通りです。その理由は間違ってしまった答えの方を覚えてしまうからです。つまり、自分が回答した間違った答えの方が記憶に定着してしまうのです。ではどうすればいいかと言うと、覚えてもらった答えを再確認するのです。「何でしたか?」と聞かないで「答えは○○ですよね」と確認するのです。間違えないようにさせること、それが記憶のリハビリテーションでは重要です。また、30秒後に手を叩いてください。といった訓練もよく行います。手を叩くだけでなく、実行する内容を複雑化したり、間隔時間をだんだんと長くしたりする。間隔時間に他のことをしてもらうなど、課題を複雑化することもできます。

松浦 なるほど。もしかしたら我々のアプローチにもやってはいけないことがあるかもしれませんね。

種村先生 そうですね。例えばよく物忘れがひどい人には「メモを取りなさい」と周りの人はアドバイスをしますね。でも記憶の障害の人にメモしなさいというだけではだめなんです。なぜなら、メモを書くことを忘れる、メモを見ることも忘れる、メモを見てもわからない、書かない、見ない、わからないのです。だから書くこと、見ることを練習しなくてはならない。記憶ノートを作って、ここには何を書く、ここには何を書くという丁寧な使用訓練をしなくてはなりません。

松浦 よく施設で行われている脳トレは効果がありますか?

種村先生 内容にもよると思いますが、本当に効果をあげようと思えば、適切な評価ができ、それに応じたリハビリテーションを組まなくてはなりませんね。現在、我々もたくさんの教材を作成しているところです。

松浦 本日は本当にお忙しいところ、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。ぜひこれからの介護に生かしたいと思います。

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種村先生にはまだまだ目から鱗のお話をたくさんしていただきました。またとても興味深かったのは教材です。先生のグループが開発された教材も別の機会にこのブログでご紹介させていただきます。


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